HISTORY

1993年-
HULFTの開発

1993年に発売され、市場のデファクトスタンダードに成長したファイル連携ミドルウェア「HULFT」の開発経緯と、
成長のステップを振り返ります。

当時のオープンシステム対応セミナー風景

01 HULFTの着想

1980年代後半、エンドユーザー・コンピューティングが広がり、情報システム部門ではなく、業務部門でPCが利用されるようになり、「ネットワーク」「オープンシステム」などが潮流となりつつあり、当社もUNIXマシンを購入して研究を進めていた。1989年、社内で専門委員会ができ、「これからは分散システム、ネットワークはインターネット、プロトコルはTCP/IPが標準に」という着想が生まれた。

02 HULFT発売

当社は流通系の受発注システムでファイル転送の仕組みを数多く扱っており、それらを応用して、ファイル転送で自動的にUNIXのDBに連携する仕組みをつくり、91年社長に提案。1991年12月より製品化に向けた開発がスタートし、92年5月に第一次開発が完了。さらに改良を重ね、1993年1月新商品HULFTが発売された。ただし最初のバージョンはUNIXへの一方向の機能しかなく、すぐにバージョン2開発に着手、少しずつ売れ始めた。

開発完了を伝える社内報記事(1992年7月号)

当時の展示会での説明パネル
当初は、分散処理システム構築支援ソフトウェア「HUL-FT」と訴求

03 HULFTのネーミングの由来

Host Unix Link File Transferの略。数多くの候補のなかから、「ハル」という音が気に入られた。「春」の明るい感じと、「2001年宇宙の旅」に出てくる人工知能を備えたコンピュータ「HAL9000」にも通じる。しかし商標取得の関係もあり、File Transferの頭文字とくっつけて「HUL-FT」となった。

04 対応機種の拡大

当時、メインフレームでTCP/IP通信ができるものは稀少であり、HULFTの利便性に気づいた企業から引き合いが来るようになった。各機種への対応に加え、UNIXは稼動OSの拡大を進めており、それらに対応するためHULFTのポーティングを積極的に行った。お客様の開発要望に対し、仕様を公開して先方に開発を依頼するような活動も行われた。

当時の展示会出展風景

HULFT2 製品カタログ

05 標準化と品質向上の取り組み

お客様ごとのカスタマイズは手間がかかりすぎるため、パラメータだけで対応できるようにした。またポーティングのためのコーディング規約も作り、機種依存性をなくし、テスト方法、テストデータも標準化して、ポーティングの短時間化を進めた。当初数多く発生したトラブルのデータやテストデータなども蓄積して、品質向上も進めた。

06 HULFT3リリース

バージョン3は1995年にリリース。それまで双方向配信は汎用機とUNIX間に限られていたが、双方向機能を見直し、当時市場にあったほとんどのオープン機種間とメインフレーム間での転送を可能にした。

HULFT3の対応機種(OS)一覧(製品カタログより)

IT専門誌に掲載したHULFT4の広告(1998年)

07 HULFT4リリース

1995年、Windows95の登場でインターネットが広がり、企業間でのデータ交換が加速した。このためHULFT4は、インターネットで利用する標準的通信手順を作るというコンセプトで開発された。
HULFT4から販売促進活動も強化された。ロゴカラーを赤とし、専門誌への広告掲載を展開。大規模IT展示会にも出展し、ブランドの認知・浸透をはかった。パッケージも著名なデザイナーに依頼し、複数のデザインの中から関係者全員で決定した。そして1996年、東京プリンスホテルで、パートナー様、ユーザー様を招待し、製品発表会を実施、HULFT4はリリースされた。

08 業界標準へ

1998年、出荷累計は10,000本、700社に到達。HULFTは「業界標準」の看板を掲げられる製品にまで成長した。HULFTの1万本受注達成記念パーティでは、ゲストで海老一 染之助・染太郎が登場して、傘の上でHULFTのパッケージを回してくれたと言われている。

HULFT1万本受注達成記念パーティ(1998年)

HULFT5リリース告知広告(1999年)

09 検査チームの独立

HULFT4発売の時期に、検査チームを開発チームとは別に独立させた。当時はISO対応が業界トレンドになっており、関西拠点のメンバーの活用ということも狙って、開発と検査の拠点を離すことによってより厳格な検査をめざした。同時にそれを対外的なアピールポイントとした。

10 プロジェクトの巨大化

多くのお客様の要望に答えるために、HULFT6以降は、全機種同時リリースが基本となった。その影響で、開発プロジェクトの規模が大きくなっていった。製品構成、売り方、宣伝広告、パートナー制度などマーケティング・営業系の業務も独立し、出荷業務も専門組織化した。

HULFT6&関連製品 新製品発表会(2003年)

HULFTサポートパック カタログ

11 サポートサービスの強化

サポートサービスに関する要望も増えたため、サポートを独立した組織として開発部門から分離させ、専任化しながら徐々に増強していき、24時間サポートや導入支援サービス、グローバルサポートなどをひろげていった。

12 HDC構想

HULFTがファイル転送マーケットで主流になり成熟するにつれ、新たにどのように成長をしていくかが議論された。そして2006年HDC(HULFT Data Communication)構想が生まれた。これは、HULFT、EDI(Electronic Data Interchange)、EAI(Enterprise Application Integration)の3軸をセットで訴求するもの。このように、他社商品とのアライアンスによる成長を模索していた。

初期のHDC構想システム適用イメージ

当時のAppresso社 社内風景
(DEVELOPERS Labs)

13 アプレッソとの提携

2011年、EAI機能を持つiDIVOを自社開発した。しかし、2013年、これまで関係が深く、EAI市場トップクラスのアプレッソ社Dataspiderと連携することによって事業領域拡大を目指すこととなった。その後2019年アプレッソ社を吸収合併した。

14 グローバルへの挑戦

最初は1997年のLA事業所開設(その後撤退)。2005年世存信息技術(上海)有限公司 設立、2011年北京オフィス開設、2015年シンガポールにHULFT Pte.Ltd.そして2016年アメリカにHULFT,Inc.設立、2017年ロンドンオフィス開設とグローバル化を本格化させた。2019年にはデトロイトにもオフィスを開設し、グローバル市場を見据えて投資を重ねている。

海度DataSpider/
上海市優秀ソフトウェア表彰授賞式(2016年)

Data Management Solution 構想概要

15 HULFTブランド戦略

2019年、これからの製品開発コンセプト「Data Management Solution」構想を立ち上げたことを機に、HULFTブランドのパワーブランド化を目指し、新しいブランドロゴやブランドタグラインを設定して、ブランド戦略を推進している。

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