事例

株式会社ソラスト介護事業本部 システム推進部
部長 平井 丈裕 氏

“介護業界の
ゲームチェンジャー”へ。
経営情報可視化に
本当に必要なデータ基盤を構築し、「科学的介護」実現を目指す

solasto

1965年、日本初の医療事務教育機関として創業。医療関連受託サービスをはじめ、介護・保育・教育などのサービスを全国534の拠点で展開している(2020年3月末現在)。2016年に東証一部へ上場、近年は介護事業においてM&Aを積極的に進め、業界の先駆的企業として注目を集めている。

導入サービス:リンケージ モダンマネージメントサービス

診療報酬請求・受付・会計などの医療関連受託サービスおよび介護サービスの業界のリーディングカンパニーとして知られる株式会社ソラスト。1965年に日本初の医療事務教育機関として創業した同社は、その後約半世紀にわたり医療関連受託事業を主力として成長を続け、2016年には東証一部への上場を果たした。さらに、介護保険制度施行前年の1999年に開始した介護事業の領域においても、積極的なM&Aなどによって急速に売上を伸ばしている。
一方、そうした介護事業の急拡大によって同社は、膨大な量の経営情報を効率的に管理・分析し、意思決定を迅速化する必要性を感じるようになった。実現を図るために同社が利用したのが、経営データを可視化し意思決定を支援する、セゾン情報システムズの「リンケージ モダンマネージメントサービス」だ。同サービスの採用に至った経緯や成果、今後の展望について、同社介護事業本部システム推進部 部長の平井丈裕氏に話をうかがった。


  • 背景
    急激に拡大する介護事業、
    激化する競争に打ち勝つため、
    より迅速な意思決定が
    必要となっていた。
    そのため、バラバラだったデータや
    システムを連携させて
    可視化を図り、
    効率と精度の向上が急務だった。
    解決
    リンケージ モダンマネージメント
    サービスを利用し、
    システム連携による
    データの一元管理、
    BIツールによる分析を可能とする
    データ連携基盤プラットフォームを
    構築した
    導入
    効果
    • BIツール活用で
      「科学的介護」
      実現が視野に
    • データ入力・収集の
      コストを
      大幅に削減
    • データの
      精度・粒度が
      格段に向上

事業の急拡大で
「ビジネスの“今”が見えない」状態に

株式会社ソラストは、「医療事務・介護・保育のイノベーションリーダーを目指す」という経営ビジョンのもと、近年、特に介護事業においてM&Aを積極的に展開するなど、売上規模の拡大に努めてきた。その経営戦略は大きな成果を上げ、同社は長年ビジネスの中核としてきた医療関連受託事業のリーディングカンパニーとしてはもちろん、介護事業においても業界の“ゲームチェンジャー”を目指して存在感を高めている。

一方で、介護事業の急速な規模拡大は、大きな経営課題を生み出す要因にもなった。その最たるものが、自社のビジネスの「今」が見えにくくなったことだ。事業拡大で情報の総量が増加するのに伴い、手作業で行われてきたExcel 主体の管理体制は限界に達しつつあった。また、各種のシステム同士が連携されず、データがバラバラに蓄積・管理されてきたことによる問題が顕在化。KPIの収集・分析に多大な時間と労力を要するようになり、経営・管理側が1週間単位で知りたい情報を1か月単位でしか把握できなくなるなど、迅速な意思決定が難しい状況になっていた。同社介護事業本部 システム推進部 部長の平井丈裕氏はいう。
「各種のデータは、精度や粒度、形式にばらつきがある。経営・管理側が新たなKPIを追加したいと思うと、過去の蓄積により膨大なデータサイズになっている Excel を手作業で全部直さなければならない。それまで特に問題なくできていたことが、介護事業の急拡大によって課題として浮上してきたのです。バラバラだったデータやシステムを連携させて可視化を図り、効率と精度を高めるための基盤構築が急務でした」


「集めてつなぐ」技術の高さと信頼感

同社は、経営情報可視化に必要なデータ基盤の構築プロジェクトを推進するパートナーとしてセゾン情報システムズを選び、リンケージ モダンマネージメントサービスを採用。その理由は2つあった、と平井氏は語る。
「1つは、弊社ですでにセゾン情報システムズのDataSpider Servistaを利用していて、同社がデータ連携を得意としていることをよく知っていたからです。一般にBIツールというと、わかりやすい見た目や多彩な機能ばかりに注目しがちです。しかし、本当に重要なのは、必要な情報をいかに収集し、どのようにクレンジングして連携するか、という一見地味な部分。同社は、まさにその連携技術に関する国内ナンバーワンの会社で、そこが選定の大きなポイントとなりました。もう1つは、同社が、今回採用したふたつのBIツール、TableauとDr.Sumの提供企業とパートナー契約を結び、豊富な導入実績を有していること。やはりその点で信 頼が置け、技術面で安心できたことが、リンケージ モダンマネージメントサービスを採用する決め手になりました」

株式会社ソラスト 介護事業本部 システム推進部 部長
									平井 丈裕氏 株式会社ソラスト
介護事業本部 システム推進部 部長
平井 丈裕氏

そうして始まったプロジェクトだが、最初からすべてがうまくいったわけではない。当初はプロジェクトへの期待が高かったぶん、やりたいことを突き詰めるあまり、5年先の分析の話までしており、「なかなか要件が固まらない状況が続いていた」と平井氏は振り返る。 「最初からすごく立派なシステムを作ろうとして、うまくいきませんでした。確かに実現できればすばらしいですが、それをするには高いスキルと長い時間が必要。でも、BIというのは普段使いのツールですから、まずは誰にでも簡単に扱えて、データの取得頻度を上げる、という現実的なレベルを目指すべきだと、方針を転換しました」

同社は、平井氏率いる新設のシステム推進部中心のプロジェクト体制に変更し、現場で実際にBIツールを使うことになる事業企画部のスタッフの要望や意見を聞きながら進める形で再スタートを切る。その際のセゾン情報システムズのエンジニアの対応が、平井氏には強く印象に残っているという。
「アーキテクチャから作り直したい、という私の要望を即座に理解して、『とても大変な作業ですが、システムとしてすごく強くなりますし、将来的には必ず御社のためになると思います』と非常に前向きに対応してくれました。Tableauに関するディスカッションにも、弊社のデータウェアハウスの構造をちゃんと理解しているエンジニアが参加してくれて、第1回目の場で7 ~ 8割がた完成してしまった。事業企画部のスタッフは衝撃を受けていましたね。そのように、対等な立場で一緒になって仕事ができるパートナー関係を築けることがセゾン情報システムズの強みだと感じました」

リンケージ モダンマネージメントサービスを
活用したシステム構築図

リンケージ モダンマネージメントサービスを活用したシステム構築図

データ精度が大幅向上、
「科学的介護」実現も視野に

2020年4月、情報共有・経営可視化のためのプラットフォームを稼働させた同社。同年6月時点では、従来 Excel で運用していたことを新システムに置き換えるフェーズの最中だが、早くも導入の効果は出始めているという。
「介護事業の業績に関するデータ入力・収集などの作業時間が大幅に短縮されました。重いExcel のデータもDr.Sumですぐに開くことができ、現場も感動しています。同時に、多くの作業が自動化されたことで、転記や計算のミスが確実に減り、データの精度・粒度が格段に向上しています。またそれに伴って、データに対する現場の意識が高まり、業務の整理と効率化が自然に進んでいます」

データ収集の効率化と精度の向上という、当初の課題のひとつをクリアした同社。次のステップとして目指すのが、BIツールによる意思決定の迅速化と「科学的介護」へのデータ活用だ。 「今、BIツールの利用範囲は、介護事業の業績管理がメインですが、次のフェーズでは介護事業全体に広げたいと考えています。厚生労働省は現在、介護に関するデータやエビデンスを収集・分析して現場の負担軽減や効率化を目指す『科学的介護』を推進していて、2020年度中に新たなデータベース『CHASE』の運用を開始するとしています。弊社としては、その動きに足並みを揃えつつ、BIツールを活用し、さらに一歩進んだ独自の『科学的介護』の実現に取り組んでいきたい。今回のプラットフォーム構築は、弊社にとってそういう将来を見据えた重要な一歩になったと考えています」