コラム

2020年6月3日
紙書類のせいで
テレワークできない?!
AI-OCRで進める
ペーパーレスの理想形
  • AI-OCR
  • ペーパーレス
  • 業務自動化・効率化
  • テレワーク

猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から社員を守るため、テレワークによる在宅勤務を進める企業が多いなか、自社の「テレワーク」への取り組みの遅れとともに、その重要性を痛感した方も多いのではないでしょうか。
一方で、テレワークの推進を阻むハードルのひとつとして紙の書類の存在があります。伝票や申込書といった紙が多い状態ではこれらを自宅に持ち帰るわけにもいかず、テレワークが進まないためです。
今回はテレワークを推進する上で欠かせないペーパーレス化に有効とされる「AI-OCR」について紹介します。


テレワーク推進の大前提となる
「ペーパーレス化」

「テレワーク」とは「情報通信技術(ICT)を活用し、時間や場所に左右されずに働くこと」を指します。自宅などオフィス以外の場所で仕事ができるため、自宅で育児や介護をしながらでも働けるようになり、近年“働き方改革”の手段のひとつとしても注目されています。

社員の多様な働き方のためにも、またCOVID-19対策として外出が制限されている状況下で在宅勤務をおこなうためにも、企業にとってテレワーク導入の重要性はますます高まっています。

テレワーク実現のためには、どこにいても業務遂行が可能であるように環境を整える必要があります。そのためには「ペーパーレス化」が欠かせません。紙の書類を見ながら自社システムに入力するといった業務は、物理的な問題や、情報セキュリティなどの観点から自宅でおこなうことが難しく、オフィスに出勤して…が前提となってしまいがち。

テレワークを進めるためにも、紙の情報をデータ化する「ペーパーレス化」は欠かせません。ペーパーレス化にはいくつかの方法がありますが、なかでも注目を集めているのが「AI-OCR」です。


AI-OCRを活用し、
文字の読み取り~システム連携まで
自動化

手書き文字や印刷された文字などを光学式カメラで読み取り、文字データに自動変換するOCR。長年、手書き文字の認識精度が問題となっていましたが、ここ数年で急速に技術が進化したAIと組み合わせることで高精度を実現した「AI-OCR」が登場し、ペーパーレス化の切り札として注目されています。どれくらい高精度かと言うと、下図のようなものが読み取れてしまうのです!

セゾン情報システムズでも、リンケージサービスの1つとしてAI-OCRサービスを提供。HULFT製品群を活用した「つなぐ」技術の強みを活かし、高精度手書き文字認識サービス「Tegaki」とお客様システム間を最適な形で連携します。

AI-OCRサービスを活用すれば、紙をスキャンしたデータから手書き文字や印刷した活字などを自動で読み取り、データを他のシステムに受け渡すことが可能になります。これにより「紙を見ながら手作業でシステム入力」といった作業がなくなり、入力されたデータを確認するだけで完了することに。また、システム側の改修も最小限に抑えて導入できる点もメリットです。


AI-OCRを活用し、
文字の読み取り~システム連携まで
自動化

ではここで実際の活用事例を紹介します。
ある企業では、代理店からFAXで送信される申込書類を紙で出力し、手作業でシステムに入力していました(エントリ・ベリファイ)。この業務を改善するために、電子FAXとあわせてAI-OCRサービスを導入。代理店からのFAX受信から文字の読み取り、システムへの入力(エントリ)まで完全自動化を実現しました。これで紙媒体を完全排除でき、テレワークも可能になったそうです。

さらにこれまでは紙を見ながら入力&確認(エントリ・ベリファイ)していた作業が、登録されたデータの確認(ベリファイ)のみになったことで作業時間もなんと1/2程度に削減されました!

このようにAI-OCRサービスを活用することで、ペーパーレス化に加えて業務効率化も可能であり、テレワーク実現にも大きく貢献します。


ペーパーレス化を進め、
業務効率化・テレワークの実現を

テレワークは場所に左右されない働き方ですが、紙ベースでの事務作業がある限り、そのためにオフィスに出向く必要があります。テレワークで働く社員全員が等しく作業できるようにするためにも、ペーパーレス化は避けては通れません。
また、せっかくペーパーレス化するのであれば、単に書類を電子化するだけでなく、あわせて紙書類を発生させないための作業フローを見直すことをお勧めします。例えば、業務上FAXでの書類受け取りが必要な場合、紙ではなく画像で出力するように変更するとか、紙の領収書を貼り付けて紙書類で経費申請をするのではなく、スマホで画像を撮影してそれを使って申請するとか、色々なことが考えられます。そうした見直しにより、真に効果的なペーパーレス化につながるはずです。

紙ベースの業務が多く残る国内企業においてペーパーレス化による業務効率化のインパクトは大きく、企業が大きく発展するきっかけになる可能性もあります。まずは第一歩としてペーパーレス化から、有事の際に社員を守るテレワークを推進してはいかがでしょうか。

著者:
株式会社セゾン情報システムズ
リンケージビジネスユニット ビジネス開発部
データエンジニアリングコンサルタントチーム

養老 康之