コラム

2020年7月21日
いくつ当てはまる?
データ分析がうまくいかない
「5つの理由」
  • BI/データ分析
  • データ連携基盤

「企業経営は、KKD(勘・経験・度胸)ではなく、データに基づいて行われるべき」と言われてから久しく、多くの企業がDWH(Data Ware House)やBI(Business Intelligence)などを導入しデータ分析に取り組んでいます。しかしながら、実際にデータに基づいた経営で成果をあげている企業はどれほどあるでしょうか?データ分析の技術が大きく進歩した今もなお、さまざまな問題や課題に直面し経営に活かしきれていないケースが少なくないようです。
今回は、弊社にご相談いただくお客様の中で、このようにデータ分析に何かしらの問題を抱え、「データドリブン」になっていない会社のよくある問題点を今日は皆様にランキング形式で紹介します。「さすがに、そんなことはないですよ!」と笑ってスルーできる会社は大丈夫。もし、「コレってウチにも言えるかも…」と思い当たる内容があったら、今すぐ改善に向けて検討を進めましょう!


第5位:BIツールの操作を
特定の人にまかせっきり

まずはスモールスタートで試してみよう…ということで、トライアル的にBIツールを1アカウント分だけ購入し、使いこなせそうな社員にデータ分析を託してしまうケース。スモールスタート自体は悪いことではないのですが、BIツール活用を特定の社員(あるいは、ITベンダの常駐要員)にまかせてしまうのはNGです。その人物はBIツールを使うことはできても、BIツールで何を分析すべきかまでは分かっていない場合が多く、そのため「なんだ、こんな程度(内容)の分析しかできないのか…」となってしまい、結果的に評価されないまま使われなくなる可能性が高いからです。自社の課題を理解しそれをどう改善するべきかという観点があってはじめて、どんな分析をするべきかが見えてきます。ツールを使う人と課題を考える人が必ずしも同一人物ではない以上、トライアル分析は両者がかかわるチーム体制で進めるべきです。


第4位:組織をまたがった
協力体制ができていない

ツールを使う人と課題を考える人が参加したチーム体制をとるだけではまだ不十分です。データ分析を進めるうえでは、実際にそれを使うユーザ部門のほか、プロジェクトを推進する部門や情報システム部門など、複数の組織が連携しながら社内横断的に進める必要があります。社内で充分にすり合わせをしないままBIツールを導入した結果、導入後の活用について情報システム部門の協力が得られず、ユーザ部門は従来通りExcelを使って分析するしかない…という失敗例、実によく耳にします。複数部門が関わるプロジェクトだからこそ、部門長レベルで事前に協力体制を構築しておくことが大事です。さらに、部門を超えた意思決定が必要になってくることを想定し、社内の旗振り役を兼ねて執行役員クラスの方に参加いただけると理想的です。


第3位:プロジェクト期間が長すぎる

DWHやBIツールの導入は投資規模もそれなりになることから、とにかく慎重に、時間をかけてプロジェクトを進めようとするケースです。優先すべき業務や課題が山積していてすぐに手が付けられない、スキマ時間でしか進められないためどうしても時間がかかる、といった現実に直面している現場は多いと思います。しかしながら、データ分析着手に半年も1年もかかってしまっては、その間にもビジネス環境がどんどん変化してしまい、分析結果が得られた時には意味がなくなっているケースも…。このようなリスクを避け、確実に成果を上げながらプロジェクトを進めるには、長くても3ヶ月程度の期間内でできる分析をまずやってみる、そして、そこで得られたことを元に分析を追加していくという形で、短いサイクルを回すアプローチがお勧めです。「スモールスタート」「Quick Win」「アジャイル」といったキーワードを社内の共通語として意識するようにしましょう。


第2位:ダッシュボード構築が
目的になってしまっている

実は本当によくあることですが、プロジェクト本来の目的を忘れてしまっているケースです。そもそも、データドリブンは、どうして&何のために必要なのでしょうか?本来の目的は、データ分析の結果をもとに業務を見直すことで生産性向上を目指したり、売上や利益などの業績向上につなげていくことのはず。ところが実際には、DWHやBIツールを導入することや、ダッシュボード(BIツールで作る分析画面)を作ることが目的となってしまっているケースが実に多いのです。こうなると、どんな画面を作るべきか的確に判断したり、成果を正しく見極めたりすること自体が難しくなります。最初に目的を明確化し、できるだけ定量的な成果目標(業績目標)を定めることが重要です。


第1位:必要なデータが
整備されていない、
ユーザに提供できない

データドリブンがうまく行かない理由の第1位は、データが整備されていないことです。せっかくBIツールを導入しても、必要なデータが揃っていなければデータ分析はできません。「色々なシステムにデータが散在していて集めるのが大変」「データ項目や粒度がバラバラでデータクレンジングが必要」「データの不整合があって数値が合わない」といったケースは多く、弊社もいくつかの導入プロジェクトで、データが揃わずにやり直しになった経験があります。BIツールでデータを可視化することよりも、データを準備することの方が難しく、かつ絶対に避けて通れない重要なことなのです。

さて、ここまで『データドリブンがうまく行かない5つの理由』をランキング形式でご紹介してきました。

  • 第1位必要なデータが整備されていない、
    ユーザーに提供できない
  • 第2位ダッシュボード(分析画面)を
    作ることが目的になっている
  • 第3位プロジェクト期間が長い
  • 第4位組織をまたがった体制を作っていない
  • 第5位BIツールを操作できる人に任せっきり

自社のプロジェクトにも当てはまる項目がある…という方は、是非弊社までお気軽にご相談下さい。

著者:
株式会社セゾン情報システムズ(現セゾンテクノロジー)
リンケージビジネスユニット ビジネス開発部
データエンジニアリングコンサルタントチーム

チーム長 今野 圭